ど根性ミニトマトの夏

【理事のつぶやきシリーズ】

河野です。

夏休みの花、といえば……ラジオ体操に行く道々に咲いていた露草。

学校のプールに行く通学路に咲いていた立葵。

種を食べたくて花壇に植えたひまわり。

そして、一人一鉢、小学校で育てていた朝顔。

この朝顔は、あくまで子どもの学びのための花でしたから、夏休み前に家に持ち帰り「きちんと世話をして観察絵日記を記すこと」という宿題の花でした。

水やりをちゃんとすれば、夏休みの間中きれいな花を咲かせてくれましたが、共働きの両親は、私の宿題に興味を示す時間も、もちろん私の宿題の手伝いなど絶対にやってくれません。

自分一人で枯らさずに秋に種を取ることができるだろうかと、とても不安だったのを覚えています。

遊びに夢中になり水やりを忘れてしまった翌朝など、朝顔が無事に咲いているのを見て胸をなで下ろしたものです。

縁日の金魚すくいの金魚も、どんなに世話をしても長生きしてくれませんでしたから、私はきっと生き物を育てるのは下手なのだと思っていました。猫や犬を飼いたいと親にねだったときも、「あなたが責任を持ってお世話できるの?」と問われると、無理だ~! とすごすごと引き下がってしまいました。

ですから、朝顔が夏中美しく咲き誇り、秋に種をつけてくれた時はとても安堵したのを今でも覚えています。

今年の夏、私はマンションの駐車場で、けなげに茎を伸ばしているミニトマトを見つけました。コンクリートの隙間から芽を出し、黄色い花までつけています。

息子たちが小学生だった頃、夏休みに鉢植えのミニトマトを学校から持ち帰ってきていたことを思い出しました。自宅で仕事をしていた私は、ついつい気になって「水やりはしたの?」などと余計なことを口走り、息子には「甘いトマトにするには水をやりすぎない方がいいんだよ~」と親のお節介をさらりと払いのけられました。

数日後、ミニトマトは小さな青い実をつけてくれました。

この分なら実が赤くなるまでがんばってくれるかもしれない。

酷暑の夏に誰かに水をもらうでもなく、過酷な状況を生き抜いているミニトマト。

私も負けずにこの夏を乗り切ろう! と日々元気をもらっていました。

ところが……数日家を留守にしていた間に、ミニトマトの茎は無残にも折れてしまっていました。

まだ茎は青々としていましたし、わずかに茎は繋がっていたので、もしかしたらこのまま生きながらえてくれるかもしれないと日々見守りましたが、そんな奇蹟は起こるはずもなく、ミニトマトは息絶えてしました。

青いまま取り残された小さな小さな実が、私を一層切なくさせましたが、こればっかりは仕方ありません。

子どもの頃の朝顔観察日記のような嬉しい結末にはなりませんでしたが、自分の運命を生ききったミニトマトの写真を添えて、久しく連絡をとっていなかった息子にメッセージを送りました。

「酷暑ですが元気に生きています。母」