【理事のつぶやき りじつぶ】
夏を彩る代表的な野菜の1つ、とうもろこし。お祭りで焼きとうもろこしを買ったり、夏休みに庭でバーベキューで焼いて食べたりと、夏には欠かせない野菜の一つです。
ところで、とうもろこしは別にスイートコーンと呼ぶこともあります。とうもろこしとスイートコーンって違うのでしょうか?
ここから先は、あくまでも生産者視点のお話になりますが生産者視点ですと、とうもろこしとスイートコーンは別の作物です。生産者が野菜や果物の生産を管理する場合は、その栽培履歴を出荷先やJAに提出する場合は「平成31年3月29日付け30消安第6281号農林水産省消費・安全局農産安全管理課長通知」という書類に記載された表に基づいて作物の分類がなされます。これは農薬使用の上での作物を分類、定義したものでこの表の分類にのっとって農薬が使用されます。
表はコチラ
https://www.acis.famic.go.jp/shinsei/6281_20240401.pdf
この表によると、とうもろこしは「とうもろこし(子実)」と「未成熟とうもろこし」の2つに分かれます。「とうもろこし(子実)」はポップコーンやコーンスターチにするとうもろこしで、未成熟とうもろこしは「種子(ある程度成熟した雌穂)を収穫するもの」と定義されています。この「未成熟とうもろこし」がつまりスイートコーン、皆さんがスーパーで買う甘いとうもろこしです。このように皆さんがスーパーで買うとうもろこしは生産管理上は「未成熟とうもろこし」という名称で管理されています。もちろん、その名称で売らなければいけない義務は無いのでスーパー店頭ではとうもろこしと書いていますけどね。
しかし、生産管理上ではとうもろこしは「とうもろこし(子実)」と「未成熟とうもろこし」合わせた総称となっているので、とうもろこしという呼び方ではどんな作物を指しているのかあいまいになってしまいますので、それをきちんと区別するために「未成熟とうもろこし」あるいは「スイートコーン」としているのです。
ちなみに冒頭、とうもろこしは夏の代表的な野菜と書きましたが、スイートコーンは生産管理上、野菜ですらありません、穀類に分類されます、小麦や稲と同じ扱いです。
最近、人気が出てきたヤングコーン(商品名ではベビーコーンとも)は、とうもろこしとは別の扱いでこちらは野菜に分類されています。また、牛や鶏に食べさせる餌用のとうもろこしは、人間が食べるとうもろこしとは別に飼料用とうもろこしという名称で生産管理されています。
さて、ちょっとややこしい話でしたがいかがでしたでしょうか? とうもろこし一つとってもなかなか奥が深いですよね。
理事 亀垣
