知らずに消えてしまう前に伝えたいこと

もち米とうるち米を混ぜて炊き、小豆を煮てあんこをつくる。

「買ってくればいいだけのものを、なぜ作らなきゃいけないのか」、「そもそも食べたくないし」、「まったく意味わかんない」

春秋の彼岸に、仏様にお供えし、先祖を供養する。春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と、名を変えるもの。お供え用は丸く形を整え、自分たちで食べる分は俵型にする。

なぜ、お供えする?
なぜ、名を変える?
なぜ、形を変える?

わからないが多すぎる!と、突っ込みどころしかないのは、ごもっとも。

そもそも仏壇や神棚すら各家庭から姿を消している時代。日本人が古くから伝え受け継いできた文化も忘れられようとしている。伝統とされてきた行事には、それぞれの由来があり意味があったもの。時々の料理をつくる手間は、段取りとちょっとしたコツをつかむまでを面倒に考えて敬遠されがちなもの。
消え去る前に、できるだけ伝えておきたいと願うのも、ごもっとも。

スーパーで売っている商品を見ては「もう、そんな季節か」とつぶやける程度の知識だけは、せめて持っていてほしいと願う吉田でした。

それにしても、9月からお節料理の予約受付がはじまっているなんて季節感がなさ過ぎて、鬼もあきれて笑えない時代なのかなとも思います。