「ほどよい」といった適度な程度を表す「いい加減」は、良くも悪くもないような中途半端な様子を表したり、無責任や不真面目さも表わしたり、使いどころが広い。けれど、発音とイントネーション次第で相手の受け止め方が変わってしまうので、口にするには使い勝手がよくない。
料理のレシピで微妙なのは「少々」や「適量」。「ひとつまみ」や「ひと口大」も初心者には判断が難しい。目方や用量が書いてあれば量ってみるが、「1/2本」などは元の大きさがイメージできないので、これまた悩みどころ。どんなに優れたレシピでも、完成形を知らない人に「これだ」と伝えるのは難しい。やはり、実際にやってみるしかない。
料理の味加減で言うなら「いい塩梅(あんばい)」。梅を塩で漬けることでできる、とても酸っぱい梅の汁(梅酢)を調味料として使っていた時代に、わずかな差で味が変わってしまうため塩と梅酢を混ぜる量を微妙に調整しながら味付けをしていたことに由来する。
では、「いい塩梅」に正解はあるだろうか? 個々人の嗜好や状態などを考えれば唯一の正解はなく、良くも悪くもないような「いい加減」に落ち着くのだろうが、これも経験がなければ無責任な「いい加減」になりかねないと思った吉田でした。






